退職金制度
退職金の支給は、労働基準法等の法律で義務付けられていませんので、支給する、しないは経営者の自由です。ベンチャー企業等では、退職金制度をもっていない会社も多く、また、傾向としても退職金制度をもたない会社は増加傾向にあります。
しかし、初めから長期間勤めるつもりのない社員は別として、一般的には退職金は、やはり社員にとって魅力があることに違いありません。
退職金制度は、一度導入すると「社員との契約事項」となりますので、後になって簡単に「やっぱりやめた」というわけにはいきません。
退職金制度をつくる場合に注意すること
- 月例賃金(基本給)、賃上げとの分離
退職金制度を新たに設計する場合は、月例賃金(基本給)と連動した仕組みは避けるようにします。賃金と分離すれば、賃上げとも切り離されるので、自動的に退職金が増えるのも防ぐことができます。また、退職金の増加を抑える目的で、無理に諸手当を厚くして賃金体系を歪めることもなく、年俸制にも対応できます。 - 能力要素と業績要素の重視
従来の退職金制度は、いわば年功賃金の最たるものでした。これからの退職金制度は、業績要素をより重視した仕組みにし、功労報奨機能を強化する必要があります。
退職金制度の例~ポイント制退職金制度
以上のように、これからの時代に適した退職金制度は、本給、賃上げと切り離し、年功要素だけでなく、業績要素や能力要素を反映する制度です。その観点から現在最も妥当性のある制度といわれているのが、ポイント制退職金制度です。
ポイント制退職金制度とは、社員の勤務期間における各1年間であらかじめ設定された評価ポイントを付加し、これを累積したものを退職金額算定基礎額として、これにポイント単価(及び退職事由別係数)を掛け合わせたものを退職金支給額とするものです。
ポイント制退職金制度の例
退職金 =(勤続ポイント+累積職能ポイント)× ポイント単価 × 退職事由別支給係数
勤続ポイント
| 勤続年数 | ポイント | 勤続年数 | ポイント | 勤続年数 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 0年~2年 | 5点 | 11年~15年 | 15点 | 26年~30年 | 30点 |
| 3年~5年 | 8点 | 16年~20年 | 20点 | 31年~35年 | 35点 |
| 6年~10年 | 10点 | 21年~25年 | 25点 | 36年~40年 | 40点 |
職能ポイント
| 職能給 | (モデル 滞留年数) |
ポイント | 職能給 | (モデル 滞留年数) |
ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1級 | (8年) | 5点 | 第5級 | (5年) | 35点 |
| 第2級 | (7年) | 8点 | 第6級 | (5年) | 40点 |
| 第3級 | (7年) | 15点 | 第7級 | (4年) | 45点 |
| 第4級 | (6年) | 25点 |
ポイント単価
14,000円
退職事由別支給係数
| 勤続年数 | 事由別支給係数 | 勤続年数 | 事由別支給係数 | ||
| 会社都合 | 自己都合 | 会社都合 | 自己都合 | ||
| 0〜4年 | 1.0 | 0.5 | 15〜19年 | 1.0 | 0.8 |
| 5〜9年 | 1.0 | 0.6 | 20〜24年 | 1.0 | 0.9 |
| 10〜14年 | 1.0 | 0.7 | 25年〜 | 1.0 | 1.0 |
退職金支給の具体例
【1】勤続10年
- 昇級ペース:並、退職時ポイント66、退職時職能資格等級2級、自己都合退職
(勤続ポイント10点+職能ポイント56点)×14,000円×0.7=646,800円 - 昇級ペース:速、退職時ポイント82、退職時職能資格等級3級、自己都合退職
(勤続ポイント10点+職能ポイント72点)×14,000円×0.7=803,600円
【2】勤続25年
- 昇級ペース:並、退職時ポイント301、退職時職能資格等級4級、自己都合退職
(勤続ポイント25点+職能ポイント276点)×14,000円×1.0=4,214,000円 - 昇級ペース:速、退職時ポイント617、退職時職能資格等級7級、自己都合退職
(勤続ポイント25点+職能ポイント592点)×14,000円×1.0=8,638,000円
ポイント制退職金制度のメリット
- 本給と切り離したポイント単価で退職金が決まるという点に加えて、能力・資格等級ポイントなどを設けることによって勤続年数だけでない能力・業績が「点」ではなく、「線」で退職金に反映されやすくなる。
- 年俸制を導入する場合にも、計算基礎額が基本給と分離しているので取り入れやすく、給付水準の変更がポイント単価の再設定だけで容易にできる。
- 中途採用者で能力の高い社員が退職金で不利にならない。
ポイント制退職金制度のデメリット
- 導入する場合にかなり専門的なスキルが要求される。
メンテナンスについても個々の社員ごとにポイントを管理していかなければならない煩雑さがある。
中小企業退職金共済制度
退職金制度を独自に設計して運営していくことが困難な中小企業向けの退職金制度として中小企業退職金制度(以下「中退共制度」)があります。
この制度は、中小企業者向けに国が援助する退職金制度で、その主な特色は、次のとおりです。
- 掛金の助成がある
新しく中退共制度に加入する事業主に掛金の1/2(上限5,000円)を1年間、国が助成します。
また、掛金月額(18,000円以下)を増額する事業主に増額分の1/3を1年間、国が助成します。 - 税法上の特典がある
中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税となります。 - 毎月の掛金は口座振替で保全措置の心配も不要
加入後も面倒な手続きや事務処理がなく、管理が簡単です。
また、掛金は口座振替で納付できるので手間もかかりません。
本制度に加入している事業主は「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づく「退職手当の保全措置」をとる必要はありません。 - 退職金は直接従業員へ
退職金は直接、退職する従業員の預金口座に振り込まれます。
一時払いのほか、本人の希望により全部または一部を分割して受け取ることもできます。 - 掛金の選択ができる
毎月の掛金月額は下記の16種類から選択できます。
| 5,000 | 6,000 | 7,000 | 8,000 |
| 9,000 | 10,000 | 12,000 | 14,000 |
| 16,000 | 18,000 | 20,000 | 22,000 |
| 24,000 | 26,000 | 28,000 | 30,000 |
※1…掛金は全額事業主が負担し、従業員に負担させることはできません。
※2…新しく制度に加入する事業主に掛金の1/2(上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間、国が助成します。
問い合わせ先
中小企業退職金共済事業本部
〒105-8077 東京都港区芝公園1‐7‐6(退職金機構ビル別館3F)
TEL(03)3436‐4351
小規模企業共済制度
常時使用する従業員が二十人(商業とサービス業では5人)以下の小規模企業の個人事業主や会社等の役員を対象に国がつくった「事業主のための退職金制度」といえるものです。
加入資格
- 常時使用する従業員が二十人以下の農林漁業を営む個人事業主
- 常時使用する従業員が二十人以下の農林漁業を営む会社の役員
掛金
毎月の掛金は、千円から七万円までの範囲内(五百円単位)で、自由に選べます。
加入後、増・減額ができ、前払いもできます。掛金を納めるのが困難な場合は、掛け止めもできます。
共済事由(共済金が受け取れる場合)
- 個人事業をやめたとき(死亡を含む)
- 会社や企業組合・協同組合の役員がその法人の解散によりやめたとき
- 役員が疾病・負傷により役員をやめたとき(死亡を含む)
- 六十五歳以上で十五年以上掛金を払っている共済契約者から請求があったとき(老齢給付)等
問い合わせ先
中小企業基盤整備機構本部
東京都港区虎ノ門3‐5‐1虎ノ門37森ビル
TEL(03)3433‐8811
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