農業の外国人研修・技能実習制度のあらまし
外国人研修制度
研修生要件
次の①から⑤のいずれにも該当する者
①18歳以上の外国人
②研修修了後母国へ帰り、日本で修得した技術・技能を活かせる業務に就く予定がある者
③母国での修得が困難な技術・技能を修得するため、日本で研修を受ける必要がある者
④現地国の国・地方公共団体からの推薦を受けた者
⑤日本で受ける研修と同種の業務に従事した経験がある者
研修制度のあらまし
- 一次受入れ機関・・・農業協同組合、商工会、社団法人、財団法人、事業協同組合 等
- 二次受入れ機関(受入れ農家)・・・ 1経営あたり2名以内(個人・法人とも)、事業協
同組合を通じた受入れの場合は3名以内 - 研修期間・・・1年以内
- 受入れ農家の負担・・・研修手当に管理費などを含めて1人当たり年間150万円程度
- 職種・・・酪農、養豚、養鶏、施設園芸(きのこ含む)、畑作
- 送り出し機関(外国側)・・・政府公認の団体・会社、地方行政府の機関
- 出身国・・・中国、タイ、ベトナム、フィリピン等
技能実習制度
技能実習生要件
次の①から④のいずれにも該当する者。
①技能実習を実施できる職種・作業について研修を修了した者
②技能実習修了後母国に帰り、日本で修得した技術・技能を活かせる業務につく予定がある者
③在留状況等からみて、技能実習制度の目的に沿った成果が期待できると認められる者
④雇用契約に基づき技能実習を行い、さらに実践的な技術・技能を修得しようとする者
技能実習制度のあらまし
- 在留資格・・・研修期間を経て技能実習生(労働者)となる
- 滞在期間・・・2年(研修期間とあわせて合計3年以内)
- 移行手続・・・研修成果、在留状況、技能実習計画の評価が必要
このうち、研修成果(試験)については全国農業会議所が行い、
試験のための予備研修については日本農業法人協会が行っている。 - 受入れ人数・・・1経営あたり毎年2名 計4名(研修生を含めて6名以内)
- 受入れ農家の負担・・・賃金に管理費などを含めて1人当たり年間200万円程度
(残業代は含まない)
労務管理のポイント
私傷病・労働災害の対応・・・任意保険(傷害保険等)の活用、労働・社会保険の加入
健康管理・・・心のケアを含む
最低賃金の遵守
時間外労働・・・労基法の遵守
外国人研修生・技能実習生の労働保険と社会保険
外国人研修生
外国人研修生は、日本の公私の機関に受け入れられて技術・技能または知識を修得する者であり、受け入れ機関と研修生との間には雇用関係はありません。
したがって研修中に外国人研修生が事故により傷害を被ったり、場合によっては死亡するなどの事故が発生しても、外国人研修生には労災補償はありません。このような事故を想定して、民間保険会社の扱っている傷害保険等に任意に加入する必要があります。(例:(財)国際研修協力機構(JITCO)が扱っている「外国人研修生総合保険」)
★外国人研修生は労働者ではない
外国人研修生は労働者でないので、労働保険(労災保険・雇用保険)や社会保険(健康保険・厚生年金保険)は適用されません。
1年以上在住見込みのある外国人登録のある者は、国民健康保険(国保)と国民年金(国年)に加入できます。(原則として加入は義務です。)
外国人研修生は、まずJITCOの任意保険等に加入し、外国人登録すると国保・国年に加入することになります。
研修生の保険料は、原則として事業主が負担します。(実習生は本人負担)
技能実習生
技能研修生は、一定期間の研修を終えた外国人研修生が、より実践的な技術・技能または知識を修得するため、研修終了後も雇用関係の下で実習を続ける者であり、被雇用者として労務を提供して、その対価として報酬を受けることになるので労働関係法令等が適用されることになります。(農業関係の技能実習生の受入れ条件として、労働基準法等の適用は、他産業に準ずるよう指導されています。)
★技能実習生は労働者であり、労働・社会保険加入が義務付けられている
技能実習生の労働保険の加入
技能実習生の受け入れ先が法人であれば、労災保険の適用労働者となり、雇用保険の被保険者となります。また、農業等で従業員5人未満の暫定任意適用事業(労働保険は任意加入の事業)であっても、技能実習生は労災保険・雇用保険とも適用となります。
技能実習生の社会保険の加入
技能実習生の受け入れ先が法人であれば、健康保険と厚生年金保険の被保険者となります。農業の技能研修生で、受け入れ先が農家等の社会保険の適用事業所でない場合には、引き続き国保と国年に加入することになります。
労働・社会保険の留意点
国民年金の免除制度等の活用
- 外国人研修生は所得がないので、研修生期間1年目は免除が可能です。(来日以前1年は所得なしとみなされます。)
- 実習生1年目も前年の所得がないので、免除が可能です。(研修手当は所得ではない。)
- 実習生2年目は前年の所得によって判断されます。最低賃金程度の場合、「半額等免除」が可能です。
- 外国人登録後申請すると、入国時に遡及して加入できます。(直前の7月まで遡及して免除を受けられる。)
- 「同居人」扱いでは、国民健康保険料は減免されますが、原則として国民年金の免除は受けられません。ただし、30歳未満であれば、「若年者納付猶予制度」が利用できます。
脱退一時金
外国人技能研修生の場合、滞在が短期間であるため、将来老齢厚生年金等を受取ることはありません。せっかく納付した厚生年金保険料や国民年金保険料が掛け捨てにならないように、厚生年金や国民年金の被保険者期間が6ヶ月以上ある場合には「脱退一時金」が本人の請求により支給されます。
ただし、請求は本国に帰ってから行うことになり、離日後2年経過すると請求できなくなります。社会保険庁の社会保険業務センター(〒168-8505東京都杉並区高井戸西3-5-24)が請求先になっており、「脱退一時金裁定請求書」に(1)出国証明(パスポートの写し)、(2)銀行の口座証明、(3)年金手帳を添えて提出します。
なお、国民年金の被保険者期間が12ヶ月以上18月未満の場合、脱退一時金の額は83,160円です。(納めた保険料の約半分が戻ってくることになります。)
また、厚生年金の脱退一時金の額は、納めた保険料の約2分の1(被保険者負担相当額)です。
検討課題
- 労働保険、社会保険の加入については、概ね適正に行われていますが、年金制度については、老齢年金の給付に結びつくことが少ないこと、障害・遺族年金の制度が周知されていないなどの問題点があります。
- 厚生年金について、事業主負担への不満もみられ、3年間程度の研修生・実習生については任意加入としてはどうかとの意見があります。
- 独、英、仏、米、ベルギー、韓等の各国とは、社会保障協定等が結ばれ、協定対象国も拡大が見込まれますが、研修生・実習生対象国の社会保障制度の整備には時間がかかることなどの課題があります。
障害基礎年金・遺族基礎年金の支給用件
事故前の被保険者期間のうち、納付済み期間(免除期間を含む)が、3分の2以上あること、または過去1年間に未納期間がないこと。(国年法30条、同60条、附則20条)
したがって、研修生のときに未加入であれば、実習生1年目にすぐ事故に遭った場合年金が支給されないことがある。厚生年金も準ずる。
社会保障協定とは
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